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健康問題が絶えず取り上げられ、疾病予防の重要性が強調されている現在、「食」は極めて大切なキーワードである。しかし、「食」についての正しい理解は必ずしも十分ではなく、あいまいな情報に惑わされ、間違った食生活をしているものも少なくない。
1993年に神戸で「WHO健康会議−21世紀に向けての健康対策:栄養とクオリティー・オブ・ライフ」が開催された。その会議の報告は10項目に要約されているが、いくつかピックアップしてみると▽民族固有の食習慣をまもる▽都市化による食生活の崩壊を防ぐ▽食習慣で慢性疾患の予防を考える▽現在、人は無意識の内に栄養素摂取の調節をしている▽植物には慢性疾患を予防する有用成分が多い▽家庭の重要性を再認識する、などである。この報告では、健康対策は発展途上国よりむしろ都市化の進む先進国にとって重要であることが強調されている。
21世紀の日本は世界のどの国も経験しなかったような超高齢化社会を迎えるが、高齢者の健康は大きな課題である。当然のことながら天寿を全うするまで十分に健康であることが理想であり、そのために予防医学の重要性、とくに若い時の食生活が指摘されている。我が国における、食生活の推移と健康について概観すると、健康の保持・増進のためには、食料が不足していた昔は量的に十分な栄養摂取が問題であったが、飽食の今日ではいかに適量をバランスよく摂取するかである。人間の食習慣というものは子供の頃からの生活習慣に基づくことが多いと思われる。ところが現在の若者の食生活には大きな変化が生じており、将来の日本を背負う若者の肉体のみならず精神面にも影響を及ぼしている。毎日の食生活ががんやアレルギー、循環器疾患、動脈硬化、骨粗しょう症の生活習慣病の発症に大きく関与していることは今日では疑う余地もない。このような生活習慣病は、悪しき習慣を積み重ねた結果であり、悪い習慣を改めさえすれば誰でもある程度は予防できるはずである。しかし、現状を振り返ってみると事態はむしろ悪化の方向にある。私たちは、健康の維持や増進のためにも、礎となる「食」のあり方について真剣に考え、「運動」、「休養」と調和させながら自分の生活環境に最も適したヘルスパラダイムを構築しなければならない。
( 近畿大学大学新聞 第413号 平成12年4月10日 )
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