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Close Up Research & Person

廃棄物から夢の材料を創る 世界をリードするニューガラス
Nishida Tetsuaki  
九州工学部
西田 哲明 助教授


西田哲明教授
西田 哲明 助教授 プロフィール
 昭和25年鹿児島県に生まれる。
 昭和52年九州大学大学院修了、理学博士。同年九州大学理学部助手。平成12年から本学九州工学部生物環境化学科助教授。
 趣味はテニス、音楽鑑賞など。
 世界の最先端を行くニューガラス―。我々の身の回りにある三大原料として、金属、プラスチック、そしてガラスがあげられる。
 金属は機械的な耐久性は高いが、酸などに溶出するように化学耐久性に問題がある。プラスチックは、加工が容易だが、リサイクルが困難で、環境ホルモンの問題が指摘されている。しかしガラスは、リサイクルが容易で、4,500年前に作られたものが現存するほど高い化学耐久性を持つ、優れた原料である。
 そのガラスに、特別な機能を付加したものをニューガラスと呼び、現在様々な研究が進められている。この分野では日本の研究が、世界で最も進歩しているといわれており、中でも先進的な研究を続け、多くの業績を挙げているのが、九州工学部生物環境化学科の西田哲明助教授だ。
 西田助教授が研究しているニューガラスに、環境保全のための、廃棄物固化ガラスがある。廃棄物処分場では産業廃棄物から、雨などに溶出した有害物質が、そのまま川などに廃棄されており、これらの廃棄物が、重大な環境汚染を起こしている。この汚染を防ぐために、廃棄物をガラスとともに溶融し、固化させるという。この方法では、廃棄物をガラスの中に封印するため、汚染物質が再度溶出することが無く、環境浄化材料や土木材料、建築材料、機能性材料として再利用できると期待されている。現在は、様々なガラスを用いて、実際に汚染物質が溶出しないか、異なる環境で実験している。
 この実験の過程で、溶融した物質が徐々に溶出してしまうこともあるが、その失敗したガラスにも利用法がある。海洋では不足するミネラル分を補うために、鉄などを融合させたガラスから徐々に溶出させることで、プランクトンが増加し、魚が集まる漁礁を作ることが可能だという。
 現在研究中のガラスに、様々な新素材がある。本来電気を通さないガラスに、石炭灰などを溶融することで、電気を通す性質を持つガラス半導体となる。このことから、透明なガラスが、電極やセンサの材料として利用可能となる。ガラスを原料とした、セラミック中空ボールと呼ばれる球状素材も、丈夫なうえに軽量で断熱効果が高い特性があり、断熱・耐熱材料として産業界での多くの利用が期待されている。

無限の可能性を秘めている 環境に優しいガラス

 このように、ガラスには様々な用途があり、無限の可能性を秘めている。加えて原料に廃棄物となったガラスが利用できるので、非常に環境に優しく素晴らしい素材なのである。
 社会のニーズに対し学生とともに歩む研究―。この様な研究をもとに、社会との協力関係が進んでいる。福岡県において、県下全体の高校理科教員を対象とした講演や、各高校個別の講演依頼、ガラス半導体の実験指導の依頼も多いという。
 そして産官学連携の一つである、TLO(技術移転機関)への参加においても、すでに3件の特許について、企業と契約しているという。西田助教授はTLOについては、「特許の出願は重要であるが、同時に市場が何を必要としているのか、社会のニーズが何かを知る事ができる。外部からの技術相談も増えており、学生にとっても生きた教材となっている」と語る。

学生をパートナーに 研究で推進する地域貢献

 社会のニーズを把握すれば、速やかに応えることが重要となる。そのためには、学生が様々な研究に取り組まなければならない。だから「研究のためには、個人の力を発揮できる環境作りが大切だ」と、西田助教授は考えている。学生は各自の研究テーマに沿い、進んで研究に取り組んでおり、今や欠かすことのできない、研究パートナーとなっている。
 「これからも大学、地域、地元企業の発展につながる研究を行い、地域貢献を積極的に推進したい」と西田助教授は、力強く語っている。


( 近畿大学大学新聞 第435号 平成14年8月1日 )

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