| 地域結集型共同研究事業
本事業は、1997年から科学技術振興機構(JST:旧科学技術振興事業団)が行っている年限5か年の事業である。対象は、都道府県ならびに政令指定都市(地域)において研究ポテンシャルを有する地域の大学、国公立試験研究機関、研究開発型企業等が結集した共同研究組織である。その目的は、地域における科学技術基盤の形成を進め、新技術・新産業の創出に資することとされている。また、その内容は国が定めた重点研究領域の中から地域が目指す特定の研究開発を進めるものである。すなわち、地域における科学技術ポテンシャルである大学、公設試験研究機関、研究開発型企業等の研究開発セクターの有機的な協力と卓越した「人材」の結集により共同研究を推進し、新技術・新産業の創出を図り、さらには地域COE(Center
of Excellence)の形成を目指すものである。今までに26地域が指定されており、本年度は、和歌山県の他、宮崎県、兵庫県、京都府の4地域が選定された。
採択事業の研究事業体制
本事業の共同研究体制は、大学として近畿大学生物理工学部、和歌山大学システム工学部、公設機関として和歌山県農林総合技術センター、および参画企業としてJA全農、近畿大学と日本農産工業とのジョイントベンチャー会社であるジーンコントロール社などからなる産官学27機関であり、農業資源を生かしたバイオ研究を進めるものである。事業主体は、和歌山テクノ振興財団が行うが、事業実施にあたって、研究全体の統括を先端技術総合研究所長で生物理工学部の入谷明教授がとり進める。したがって、申請母体は、和歌山県であるが、研究推進は、近畿大学生物理工学部が主となって進める体制となっている。事業期間は5年間で規模は、概算総額25億円(JSTが12.5億円、自治体側同額負担)である。(全体研究フレームへ≫)に示すように、研究開発は多岐にわたる農業資源について研究開発し産業化を目指す。このため、2つのサブテーマに大別して研究を推進する計画である。
1つ目の研究テーマでは、農業資源におけるゲノム情報やプロテオーム情報を解析・整理し、それらを制御ならびに一元管理する技術を開発することで、農業資源におけるバイオ情報産業を新規に開発する。研究リーダーは、和歌山大学システム工学部の中川優教授だが、本学から生物理工学部・松本和也助教授、森本康一講師、水産研究所・家戸敬太郎講師らが家畜や魚類の有用形質の表現型発現に関わるプロテオミクス研究を推進する。
2つ目の研究テーマでは、有用形質を有する農業資源を有効利用するために遺伝的同一生物を高効率で生産する技術を開発する。さらに、有用形質遺伝子操作技術を開発し、クローン化技術との融合により商業的利用が可能なレベルを目指すものである。研究リーダーは、生物理工学部・佐伯和弘教授で、同学部の宮本裕史講師、本津茂樹教授、細井美彦教授が参画する。企業参画として、近畿大学と日本農産工業とのジョイントベンチャー会社であるジーンコントロール社から三谷匡取締役ならびに加藤博己研究員(先端技術総合研究所講師)が参画する。また、和歌山県公設試からも参画し、家畜、ウメ、カキ、さらには海藻に至る種々の農業資源を対象とした研究開発を推進する。
【各研究テーマの詳細】
研究テーマ1
「有用アグリリソースのタンパク質発現解析と制御技術の開発」
生物情報科学(バイオインフォマティクス)は、ヒトゲノムの解読が完了した現在、医学領域で大きな発展を遂げている。一方で、農業・畜産・水産などの第一次産業分野では、このバイオインフォマティクスは、未だ発展途上といえる。和歌山県が農業分野で豊富な有用形質資源を有することから、「有用アグリリソースのタンパク質発現解析と制御技術の開発」を進め、農業分野におけるバイオインフォマティクス情報拠点の構築を目指すものである。ここでは、和歌山県の基幹作物であるウメやカキ、養殖魚類のマダイ、家畜のウシをターゲットとして、種々の経済形質などの有用形質発現についてDNAマイクロアレイによるトランスクリプトーム解析やTOF/TOFによるプロテオーム解析を行う。さらにこれら網羅的解析データを情報処理技術により、有用なデータのみを浮かび上がらせるデータマイニング処理を行い、活用可能な知識情報を得る。これら技術開発により、産業的に利用可能な農業形質プロテオミクスセンターを構築、さらにこれらの情報を発信できる基地基盤の確立を目指している。
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