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学術・研究
世界初 生物理工学部の研究グループ 
ホウレンソウの遺伝子を持つブタ誕生

環境破壊・食糧危機問題に遺伝子組み換えの力

 ホウレンソウの遺伝子を組み込んで、肉質を変化させた豚を作ることに生物理工学部の入谷明教授(学部長)らの研究グループがこのほど成功した。

 入谷教授らはホウレンソウの根の部分からFAD2遺伝子と呼ばれる飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸の「リノール酸」に変える酵素の遺伝子を取り出し、豚の受精卵に注入。母豚の子宮に戻し、出産させた(成功率は約5%)。
ホウレンソウの遺伝子を組み込んだブタ
ホウレンソウの遺伝子を組み込んだブタ
 リノール酸は体に必要な必須脂肪酸とされるものだが、人間などほ乳動物はその成分を持たず、食品から摂取している。誕生した豚は6頭で、脂肪組織を調べたところ、普通の豚よりも不飽和脂肪酸が20%多く含まれていた。

 さらに普通の豚と交配させた第2、3世代の豚が20頭以上生まれたが、その半数以上に遺伝子が受け継がれていることもわかった。動物に植物の遺伝子を注入し、正常に機能させることに成功したのは世界で初めてのこと。
遺伝子組み換えブタの誕生課程図
遺伝子組み換えブタの誕生課程
 入谷教授は「地球規模で人口増加や環境破壊が進み、将来、食糧危機が起こると考えられる。遺伝子組み換え技術等、分子生物学の力を借りた食物の改良は必要」と前置き。「今回の研究で動植物間の遺伝子の行き来が可能とわかった。動物自身の健康に害しないことを前提に、食品としての安全性、生理学的な検査を慎重に進めていきたい」としている。食品の質を高める大きな成果が生まれた。

 この研究は岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所の村田紀夫教授らの研究グループと共同で行われた。

(近畿大学大学新聞 第430号 1面 平成14年3月1日発行)
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